商標使用料の損金算入を認める連邦控訴裁判所の逆転判決 

第2巡回区連邦控訴裁判所は、製造業者が売上高に応じて支払う商標使用料は、棚卸資産の製造原価に算入すべきであると認定した連邦租税裁判所による一審判決を覆し、期間費用としての損金算入を認める判決を下しました。

 

背景

台所用品の製造・販売業者であるRobinson Knife社は、Pyrex社とOneida社との間で、有名ブランドを使用して製品のデザインと製造を行うための商標ライセンス契約を結んでいました。同契約により、Robinson Knife社は商標所有者に対して、販売個数に応じてロイヤルティを支払うことを義務付けられていました。

 

また、商標ライセンス契約には、品質管理に関する規定があり、Robinson Knife社は、製品のデザイン、包装仕様、販促資料や試供品などについて、事前に商標所有者の承認を得ることを義務付けられていました。商標ライセンス契約に品質管理に関する規定が含まれていることは、珍しいことではありません。

 

棚卸資産の取得原価についての統一的な基準を定めている内国歳入法第263A条の財務省規則では、製造業に従事する納税者は、すべての直接費と製品の製造に帰属する特定の間接費を原価算入することが義務付けられています。また、間接費は、製造工程に直接寄与するもの、あるいは製造工程において発生した場合にのみ、製品の製造に帰属するものとみなされます。(26 C.F.R. §1.263A-1)

 

租税裁判所の一審判決

一審では、税務当局側は、商標使用料がRobinson Knife社の製造工程に直接寄与するもの、もしくは製造工程において発生したものであるため、期間費用ではなく棚卸資産の製造原価に算入すべきであると主張しました。租税裁判所も、「商標ライセンス契約の品質管理条項に基づく新製品にPyrexあるいはOneidaブランドを冠する際の商標所有者による事前承認は、これらのブランドが冠された製品の開発・製造工程の一部である」として税務当局側の主張を認め、Robinson Knife社は内国歳入法第263A条に基づいて同社が選択していた製造業者用の簡便法により、商標使用料を棚卸資産の製造原価に算入すべきという判決を下しました。

 

二審判決

第2巡回区連邦控訴裁判所は、一審の連邦租税裁判所が、商標ライセンス契約に基づく商標使用料の支払いと、その他の契約内容を混同した判決を下したとして、逆転判決を下しました。二審では、商標使用料は、販売個数に応じて計算されるものであり、製造個数に基づくものではないため、製造コストよりも販売コストとしての性格が強いと認定されました。従って、仮に商標使用料の支払いが製造個数に基づいて算定されることになっていた場合には、製造原価への算入が妥当であると認定された可能性があります。

 

税務当局の考え方

内国歳入庁(以下「IRS」)は、現時点では、二審判決を受け入れるか、あるいは上告するかについての方針を明らかにしていませんが、何らかの形で本件に関するガイダンスを策定するものと思われます。IRSがその方針に反して二審で逆転敗訴したという状況であるため、売上高に基づく商標使用料を支払っている製造業者は、今後の的確な対応が必要となりますので、早期に税務アドバイザーに相談されることをお勧めします。

 

この記事は、著者による許諾に基づき、KPMGのワシントン全米税務本部の隔週ニュースレター「Tax What’s News in Tax」の内容を要約、転載したものです。

 

Download Full Article
What's News in Tax: Sales-Based Royalty Payments Are Not Capitalizable into Ending Inventory (英語版のみ)
(PDF / 116 KB)

 

*******

 

本文中の税務アドバイスは、KPMGのクライアントもしくはその他の個人や事業体が、1.納税者に対して賦課される可能性があるペナルティーの回避を目的として使用することや、2.調査対象事項について宣伝、マーケティング、推奨等を行うことを意図したものではなく、従ってこれらの目的には使用できません。

 

この記事は著者個人の見解であり、KPMG LLPの見解や専門的アドヴァイスではありません。

 

なお、本文中の情報は全て一般的なものであり、将来改正される可能性のある法令に基づいています。特定の状況への適用については、税務専門家に相談してください。