ファミリービジネスが永続的に繁栄していくためには、事業資産やファミリー財産の次世代承継に関するプランニングが重要となります。

次世代承継については、ファミリー内の感情的側面に加え、税務、法務等のさまざまな問題が絡んできます。さらに今日では、世界的なパンデミック、地政学的な緊張の高まり、景気後退の懸念、そしてテクノロジーの進化によるビジネスモデルの変化といったパラダイムシフトにより、次世代承継の問題は複雑化しています。

株式承継に対する課税 - 世界各国の税制の違い

本レポートでは、KPMG プライベートエンタープライズセクターに所属する世界各国のアドバイザーが、ファミリービジネスの次世代承継の重要課題である株式承継について、各国の課税上の取り扱いの概要に触れた後、相続による株式承継と生前贈与による株式承継の2つのケーススタディの結果について、詳細な分析を行っています。

ケーススタディでは、世界各国の税制について、特に以下の点において重要な違いがあることを示しています。

  • 株式承継に関する優遇税制の有無と、その適用要件
  • 株式承継に対する課税方法(相続税、贈与税、キャピタルゲインタックス、印紙税等)

経済社会のグローバル化に伴い、ファミリーメンバーやファミリー財産についても多様化・国際化が進んでいます。ファミリービジネスの次世代承継を検討するうえでは、ファミリーメンバーやファミリー財産等の個々の状況を勘案したタックスプランニングが重要となります。

各国の生前贈与・相続による株式承継に係る税制の比較検討

地図をクリック、またはドロップダウンリストより57の国・地域の中から選択いただくと、生前贈与および相続による株式承継に係る税制の比較分析(英文のみ)をご覧いただけます。

自国の税制ルールは、事業承継、投資・事業計画を推進するために必要な要素の1つに過ぎません。

本レポートは、KPMGのプライベートエンタープライズセクターのリーダーやプロフェッショナルへのインタビューから得られた知見をもとに、調査対象の国や地域ごとのファミリービジネスの現状や、ファミリービジネスの経営者が直面するさまざまなリスクや優先して取り組むべき事項に関するインサイトを提供します。

また、ファミリービジネスの経営者が、事業や財産形成に関する長期的な計画を策定するうえで考慮すべき「事業拡大」「財産管理」「社会還元」の3つの要素について解説します。

事業拡大

経営者と財産のグローバル化

KPMG プライベートエンタープライズセクターのアドバイザーによれば、経済社会のグローバル化に伴い、ファミリーメンバーやファミリー財産についての多様化・国際化、また、持続可能なビジネスモデルへの移行が進んでいます。

しかし、長期にわたりグローバルでビジネスを行ってきたファミリーが認識しているように、人や事業活動が国境を超え、拡大するにつれて、税務、法務、その他のリスクが増加することがあります。

パンデミックがいくつかの地域で継続するなか、これらのリスクは特に富裕層にとって高まっています。政府は、パンデミック期間中の緊急的支援活動により減少した財政を回復するために必要な財源として、富裕層に注目しています。

税制は常に変化しており、機会とリスクの双方を生み出します。そのため、複数の地域に展開している経営者は、新たな税制や増税に関する情報を常に監視し、事前の対策を取ることが重要です。

財産管理

ガバナンスとファミリーの財産管理が優先事項に

KPMG プライベートエンタープライズセクターのアドバイザーによれば、多くの地域において、ファミリーの財産管理の厳格化が進んでおり、ファミリーオフィスの活用やガバナンスへの関心が高まっています。

新たな世代がファミリーのビジネスや財産に関与するようになると、多くの場合、創業者世代のビジネスから、ファミリーの長期的な投資・財産の管理へと焦点が移ります。

ファミリーの財産を管理するためにファミリーオフィスを活用することは、グローバルなファミリーにとって特に価値があります。なぜなら、ファミリーメンバーや財産が複数の地域にまたがっていると、財産保全について、クロスボーダーで税務、法務等のリスクが発生するからです。

ファミリーオフィスは、ファミリーの目的の支援、ファミリーメンバーに対する専門的アドバイスの提供、ファミリーの財産の管理運用等の総合的な機能を保持します。

ファミリーオフィスの存在は、経営と財産の次世代承継が進むにつれて、重要度を増しています。

社会還元

社会貢献活動に対する関心の高まり

これまで、多くのファミリービジネス経営者は慈善活動の重要な役割を果たしてきましたが、透明性やESG情報開示など、これまで以上に社会的な貢献が求められています。

その一端は、経済的な資本を超えた富の目的の定義の変化にあります。企業社会における考え方が、株主だけでなく幅広い社会的責任を受け入れるようになったように、ファミリーの財産の定義も純粋な経済的な富から、地域社会に利益をもたらす他の貢献を含むかたちに進化しています。

多くの経営者は、社会貢献団体への寄付などの伝統的な慈善活動に加え、経済的利益を得ながら地域社会の繁栄を支援するビジネスモデルを模索しています。

例えば一部の経営者には、ファミリー財団を通じて社会貢献活動を行っている方がいます。ファミリー財団は、投資機会を評価や活動のための資本配分の決定等を行い、社会貢献活動を推進しています。

当該レポート全文は、Global family business tax monitor 2023(原文/英語)よりご覧ください。

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