金融庁「諸外国におけるマネロン等対策の実態調査と先進事例の分析に関する調査研究」

金融庁が、あずさ監査法人に委託した「マネロン等対策の高度化に向けて、諸外国の監督当局における制度的対応や金融機関の取組等における先進事例や好事例を収集・分析する調査」について、調査結果が公表されました。

金融庁が、あずさ監査法人に委託した調査について調査結果が公表されました。

金融庁が、あずさ監査法人に委託した「マネロン等対策の高度化に向けて、諸外国の監督当局における制度的対応や金融機関の取組等における先進事例や好事例を収集・分析する調査」について、調査結果が公表されました。

金融庁「諸外国におけるマネロン等対策の実態調査と先進事例の分析に関する調査研究」の公表について

調査項目は以下の3つに分けられます。

  1. 諸外国におけるマネロン情報の共有制度と個人情報保護法制
  2. 当局マネロン検査のフォローアップを外部適格コンサルタントに委託する手法(英)の事例研究
  3. 海外当局のマネロンリスク分析手法やデジタル技術の活用状況
    ・その1:デジタル技術等を活用した先進的なリスク分析手法の事例研究
    ・その2:暗号資産および暗号資産交換業に関するリスク分析・モニタリング手法の事例研究

調査項目(1)

諸外国におけるマネロン情報の共有制度と個人情報保護法制

概要:諸外国においては、疑わしい取引等のマネロン情報を官民で共有する取組が進んでいる。現行の疑わしい取引の届出義務の範囲を超えた情報共有によって、従来十分できていなかった金融システムを悪用する手口の検知についての実効性を向上させようとする試みであると位置づけることができる。オランダ、イギリス、オーストラリア、香港、シンガポールの各法域での取組の概要、枠組、個人情報保護法制との関係性等を調査・分類・整理した。また、個別の顧客・取引に関する情報共有、リスク・犯罪の動向・手口に関する情報共有の観点から将来的な制度設計の検討に資する考察を行った。

(報告書:諸外国におけるマネロン等対策の実態調査と先進事例の分析に関する調査研 その1

調査項目(2)

当局マネロン検査のフォローアップを外部適格コンサルタントに委託する手法(英)の事例研究

概要:日本に限らず、AML/CFT 監督の人員数および専門性両方の意味でのリソース不足や、金融サービスの進展、あるいは ML/TF 手口の進化を踏まえると、監督の高度化の一環として、外部戦力の活用を検討することは選択肢の一つとなり得る。このような観点でイギリスのSPR(Skilled Person Review)制度は、先行事例として位置づけられ、導入経緯、規制の枠組、SPR実施の流れ、SPR制度の成果を調査した。また、このような制度の目的、専門家の適格性、成果物の品質管理、コスト構造、費用対効果、説明責任の確保といった観点から、わが国へのインプリケーションについて考察した。

(報告書:諸外国におけるマネロン等対策の実態調査と 先進事例の分析に関する調査研究 その2

調査項目(3)

海外当局のマネロンリスク分析手法やデジタル技術の活用状況

その1:デジタル技術等を活用した先進的なリスク分析手法の事例研究

概要:海外においては、監督当局が、中央データベースないしはデータレイクを用意し、事業者から高粒度情報を収集するという取組が行われている。その先行事例として、オランダのCDB、メキシコのR2Aそれぞれの取組について調査を行った。調査結果を踏まえ、AML/CFT の規制・監督に関する事業者からの情報の流れという観点では、以下の論点が重要であるとの示唆が得られた。

  1. 当局としての期待目線と整合的、かつ検証可能な形での徴求情報
  2. 集約された情報ではなく、高粒度の情報収集
  3. 一事業者毎の精査というモニタリング業務に加え、収集情報のデジタル化とその横断的な活用
  4. リスク評価等の非構造情報について、テキストマイニング手法やその他のメタ情報を活用した定量的なクラスタリング、スコアリング手法の適用

(報告書:諸外国におけるマネロン等対策の実態調査と先進事例の分析に関する調査研究 その3

調査項目(3)

海外当局のマネロンリスク分析手法やデジタル技術の活用状況

その2:暗号資産および暗号資産交換業に関するリスク分析・モニタリング手法の事例研究

概要:暗号資産および暗号資産交換業に関して、監督当局としてのリスク分析・モニタリング手法高度化に資する事例研究を行った。まず、暗号資産等の定義、生態系を概観し、その中で観測される悪用手口、ML/TFリスクを整理した。そのうえでEU、フランス、ドイツ、ノルウェー、オーストラリア、カナダ、韓国の各国法規制を調査し、改善・制裁措置、モニタリング、コミュニケーション、リスク評価・調査分析、インフラ、分析手法の各観点から、規制・監督上の課題や取り組むべき方向性について考察した。

(報告書:諸外国におけるマネロン等対策の実態調査と 先進事例の分析に関する調査研究 その4

執筆者

有限責任 あずさ監査法人

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