会計・監査アップデート 

「会計・監査アップデート」では、毎号、米国の会計・監査に関する基準やその他の動きで、在米日系企業の皆様に関心があるかと思われる事柄に関する最新情報を提供しています。詳細は、当社 Department of Professional Practice発行の 『Defining Issues』 をご参照ください。

 

 ご質問・お問い合わせはロサンゼルス事務所の前川武俊(213-955-8331; tmaekawa@kpmg.com)またはアトランタ事務所の日柳真一(404-222-7611; skusanagi@kpmg.com)、までご連絡ください。

 

財務会計財団-非公開企業のための新しい審議会を設立

2012年5月23日に、財務会計財団(Financial Accounting Foundation, FAF)の評議会(Board of Trustees)は、非公開企業のための会計基準設定プロセスを改善するための新組織、非公開企業審議会(Private Company Council, PCC)の設立を全会一致で可決しました。これは、数ヵ月におよぶ審議並びに非公開企業の財務諸表の作成者、監査人及び利用者をはじめとする広範囲の利害関係者へのアウトリーチ活動を経て決議されたものです。承認されたPCCの設立計画は、概ね昨年の10月にFAFによって公表された提案に沿うものであり、アジェンダの設定、会員の条件、会議の頻度及び監視プロセスなどのPCCの主たる責任及び運営手続を規定しています。

 

 

大きな変化を伴う米国会計基準設定活動の概要

米国会計基準の設定活動は、引き続き、かつてないレベルの変化に向かっています。現在FASBおよびIASBは、収益認識、リース、金融商品、及び保険契約など、米国の財務報告制度に影響を与えることが見込まれる、優先順位の高いコンバージェンス・プロジェクトに取り組んでいます。また、FASBのみのプロジェクトとしては、耐用年数を確定できない無形資産の減損に関する定性的評価の適用、その他の包括利益から再分類される項目の表示の再検討、開示フレームワークの設定、そして非公開企業の会計処理に関する検討事項などがあります。

 

 

FASB-ASU案「流動性リスク及び金利リスクに関する開示」を公表

FASBは、2012年6月27日に金融商品から生じる企業の流動性リスク及び金利リスクに関するエクスポージャーについての開示を大幅に増やす会計基準書アップデート(Accounting Standards Update, ASU)案を公表しました。流動性リスクの開示はすべての企業に適用されるのに対し、金利リスクに関しては金融機関のみが開示を要求されます。このASU案は、金融商品の会計処理に関するFASBの2010年5月公開草案への財務諸表利用者からのコメントに対応するものです。財務諸表利用者は、金融商品の種類に係る固有のリスクについて標準化された開示を求めています。FASBは利害関係者からのコメントを検討した上で、適用日を決定する予定です。

 

 

FASB-偶発損失の開示プロジェクトを議題から削除

FASBは、2012年7月9日に開催された会議において、偶発損失の開示プロジェクトをFASBの議題から削除することを決定しました。FASBは、U.S. GAAP上の偶発損失の開示の質に関する財務諸表利用者の懸念に対応するために、このプロジェクトを2007年にFASBの議題に加えました。その後、FASBは偶発損失の開示規定の大幅な拡充を提案する2つの公開草案を公表しました。

 

 

SECスタッフ- IFRSの作業計画における最終報告書を公表

SECスタッフは、2012年7月13日に、IFRS作業計画において検討が必要とされる重要論点及びIFRSを米国公開企業の財務報告制度に組み込むことによる潜在的影響に関するスタッフの調査内容と分析結果の概要を示した最終報告書を公表しました。この最終報告書は、SECがとるべき施策に関する結論や提案を含んでおらず、米国公開企業によるIFRSの適用を検討するための次のステップの内容及びその時期は依然として不透明です。

 

 

FASB/IASB-リース会計に関する再審議を概ね完了

FASB及びIASBは、2012年7月17日に開催されたFASB/IASB合同会議において、両ボードのリースの会計処理に関する2010年公開草案の再審議を概ね終了し、両ボードのスタッフに共同で再公開草案の作成を開始するよう指示しました。また、両ボードは、借手の表示、開示、並びに借手が損益計算書においてリース費用を単一項目でを認識する(通常、定額法)リース契約の経過措置、オペレーティングリースとして会計処理されないリース契約の早期解約時の貸手による原資産の測定方法、及び期中財務諸表における借手または貸手によるリースに関する開示を義務付けるための期中財務報告基準の改訂の要否などの、合同再審議における残りの論点について討議しました。両ボードは、コメントを募集するため、120日間のコメント期間を設けたリース会計の再公開草案を2012年末までに公表する見込みであり、2013年中の最終基準書を公表を目指しています。

 

 

FASB/IASB-収益認識基準案に関する再審議を開始

2012年7月16‐19日に開催されたFASB/IASBの合同会議において、両ボードは、2011年11月に共同で公表した収益認識に関する再公開草案(2011年公開草案)において提案された不利な履行義務に関するテスト(onerous test)を義務付けないことで暫定的に合意し、不利な契約に関するIFRSとU.S. GAAPの現行のガイダンスを維持することで暫定合意しました。両ボードはまた、別個の履行義務の識別及び一定の期間に充足される履行義務に関するガイダンスを、新基準上より明確にすることで暫定的に合意しました。

 

この合同会議はは、2011年公開草案に寄せられたコメントに対応するための実質的な最初の再審議になります。両ボードは、2011年公開草案についての再審議を2012年中に完了して最終基準書を2013年上半期に公表することを目標に、2011年公開草案に関する他の論点に対応するために引き続き9月に再審議を行う予定です。

 

 

FASB-ASU「耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト」を公表

FASBは、2012年7月27日に、のれん以外の耐用年数を確定できない無形資産について、減損の可能性が50%超(more likely than not)か否かの定性的評価を企業が行うことを容認する、会計基準書アップデート(Accounting Standards Update, ASU)第2012-02号「耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト」を公表しました。このASUの目的は、耐用年数を確定できない無形資産の減損テストの簡略化して、のれんの減損テストの改訂内容と同様にすることです。

 

 

FASB-金融資産の減損モデルについて代替案を検討することを決定

FASBは、2012年8月1日の単独のボード会議において、IASBと共同で開発してきた金融資産の3区分減損モデル(three-bucket impairment model)の代替的な減損モデルを検討することを決定しました。このFASBの決定は、3区分減損モデルの実務上の適用可能性、監査可能性及び理解可能性に関する利害関係者からの懸念に対応するものです。FASBは、この決定によりコンバージェンスが達成できない可能性があるいとしても、このまま3区分減損モデルを進めていくことでは指摘されている問題点を適切に解決できないという懸念を示しました。FASBは、予想損失の概念に基づいた代替的な減損モデル(ポートフォリオのすべての信用リスクを加味するが、2つの測定目的を使い分けない)を検討するために、今後数週間にわたりボード会議を行う予定です。