グローバル製造業の展望:イノベーションによる成長促進 

本文要約

世界経済の回復は2011年から停滞し始めました。ユーロ圏で次々と発生する債務危機、地政学的な緊張がもたらす石油市場への影響、不安定なコモディティ価格が引き起こす新たなサプライチェーン問題、これらはすべて世界経済の活力を脅かすものとなっています。これらのマクロ経済の不確実性が、先進諸国における多額の家計負債と相まって、2011年第4四半期の世界の製造業生産高の成長率は4.2%にとどまり、前年同期比で減少、2011年度の各四半期で最低の成長率となりました。

 

しかしながら、KPMGがスポンサーとなりEconomist Intelligence Unit社が作成した報告書「Global Manufacturing Outlook 2012: Fostering Growth through Innovation」によると、世界中のグローバル製造業者は短期の見通しについて依然として楽観的であることが明らかになっています。彼らは、低成長環境を利用して事業のスリム化と効率化を図っています。2011年以降、製造業者は世界経済の回復は間近であると、以前よりわずかながらも楽観的になっています。そこで、イノベーション活動を拡大し、効率性向上の方法を模索(コスト管理やサプライチェーンを最適化する方法を改善する等)、自分たちの製品やサービスに付加価値をつける対策を同時に行っています。

 

当調査結果の主なものは以下の通りです。

 

  • 製造業にとっての新しいスローガンは「利益性の高い成長」。2011年以降、世界中の企業を対象とした調査において、売上拡大を優先課題とする回答企業の比率は倍増、更に、多くの企業が、事業の最大限のスリム化を図り、その体制を維持することで最終利益を増加させることを優先事項として挙げています。製造業者は、自身の事業がまもなく回復することについては確信はしているものの、コストについてはまだ懸念を残しています。2011年度と同様に、最大懸念事項は不安定な材料費で、57%の回答企業は、今後12~24ヶ月の間にビジネスモデルのコスト構造を変える必要があると考えています。また彼らは事業の合理化も継続して行っており、実際回答企業の54%は、(上記と)同時期に「採算性の低い製品ラインや地域」からの撤退の重要性が高まると回答しています。硬質産業包装の世界最大手である米国企業Greif社のCEOデビッド・フィッシャー氏は、「経済の低迷によって我々の最も洗練された顧客の間に、ゼロ・ウエイスト(一切の無駄を省く)の思考が高まった」、「よって、回復が進むにつれ、彼らの優位性はさらに高まるであろう。」と述べています。
  • サプライチェーン間のより緊密な協力による転換型イノベーションの新たな波。世界中の回答企業の72%が、転換型イノベーションは既に始まっている、あるいは今後12~24ヶ月以内に始まると考えています。利益性の高い成長を目指す計画に合わせ、彼らはイノベーションに向けて2方向からのアプローチを採用しています。製品ラインの拡大・強化を図ると同時に、プロセス革新によるコスト削減を目指しています。今回の回答企業は、知的財産の開発・利用の共有という従来の開かれた技術革新モデルについてはあまり興味を示していません。ただし、知的財産(IP)所有の重要性対IPの利用についての質問の結果には、地域によって大きな差が表れました。しかし、特にサプライヤーや顧客といった第三者とのより強い協力体制の必要性については確信しており、61%の回答企業は、「サプライチェーンとの協力と透明性」が今後12~24ヶ月の利益にもたらす影響は「大きい」又は「非常に大きい」と回答しています。
  • サプライチェーンの再編や付加価値サービスにより、製造業者と顧客の距離はさらに縮小。製造業者は、ビジネスモデルの変更により、コスト(削減)と成長戦略両方に関わるシナジーを見出しています。例えば、製造施設や供給源をこれまで以上にエンド・ユーザーに近づけています。これはコスト管理の向上のためだけではなく、より迅速に、機敏に、そして正確に製品を提供できるよう適切に現地化することを目的としています。回答企業の46%は、こうしたいわゆるニアショアリング (near shoring) の動きが今後12~24ヶ月の間に増えていくと見込んでいます。一方で、製造業者は保守、パフォーマンスの最適化、及び製品のライフサイクル管理といった分野で高利益率のサービスの提供方法を模索しているため、付加価値サービスも引き続き増加しています。年商400億米ドルの電力及びオートメーション技術大手のスイス企業ABB社で英国担当のカントリー・サービス・マネージャーを務めるマイク・クロフォード氏は、「プロセス・パフォーマンスを最適化し、優れた操業を行うために先進サービスを導入する動きは確実に広まっている」と述べています。一般的な経済の見通しについてはまだ不確実性が残るものの、新たな付加価値サービスの創出は、比較的低コスト・低リスクで、販売及び収益拡大を達成する方法でもあります。回答企業の63%が、新たなカスタマーサービスやその強化が今後12~24ヶ月において利益増加に及ぼす影響は「大きい」又は「非常に大きい」と回答しており、この数値は過去12~24ヶ月に比べて9%上昇しています。

 

詳細に関しては、レポート全文を下記リンクよりダウンロード下さい。

 

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Global Manufacturing Outlook 2012: Fostering Growth through Innovation (PDF 3.5 MB)