会計・監査アップデート 

「会計・監査アップデート」では、毎号、米国の会計・監査に関する基準やその他の動きで、在米日系企業の皆様に関心があるかと思われる事柄に関する最新情報を提供しています。詳細は、当社 Department of Professional Practice発行の 『Defining Issues』 をご参照ください。

 

 ご質問・お問い合わせはロサンゼルス事務所の前川武俊(213-955-8331; tmaekawa@kpmg.com)またはアトランタ事務所の日柳真一(404-222-7611; skusanagi@kpmg.com)、までご連絡ください。

 

FASB-ASU案「その他の包括利益累計額から振り替えた項目の表示」を公表

FASBは、2012年8月16日に、(1)報告期間中にその他の包括利益の各項目から振り替えた額、及び期末日におけるその他の包括利益の残高を個別に表示し、(2)その他の包括利益累計額(Accumulated Other Comprehensive Income, AOCI)の各項目から振り替えた額について表形式での開示を義務付ける、会計基準書更新書(Accounting Standards Update, ASU)案を公表しました。

 

 

 

PCAOB-監査基準書「監査委員会とのコミュニケーション」を公表

PCAOBは、監査基準書第16号「監査委員会とのコミュニケーション」及び関連するPCAOB監査基準の改訂を承認しました。この新しい基準書は、年次財務諸表の監査及び期中財務諸表のレビューに関する監査人と監査委員会とのコミュニケーションの目的適合性、適時性、及び質の向上を目的とする規定を確立するものです。

 

SECの承認を受けた上で、この新しい基準及び関連する改訂は、2012年12月15日以降開始する事業年度の監査から適用されます。

 

 

 

FASB-金融資産の代替的な減損モデルに関する重要な決定

FASBは、2012年8月22日の単独のボード会議において、金融資産の代替的な減損モデルに関する重要な決定を行いました。FASBは、代替的な減損モデルについて、IASBと共同で開発した3バケット・モデルの主要な概念を一部引き継ぎながらも、予想信用損失の見積りは単一の測定目的に基づくものにすることを決定しました。FASBの決定は、米国の利害関係者から寄せられた、減損の3バケット・モデルの適用可能性、監査可能性、理解可能性に関する懸念に対応するものです。

 

 

 

SEC-採掘産業による支払いに関する最終規則を公表

SECは、ドッド・フランク法によって米国に上場している資源採掘企業に義務付けられる、石油、天然ガスまたは鉱物の商業開発に関する米国連邦政府または外国政府への支払いに関する開示についての最終規則を公表しました。

 

 

 

SEC-紛争鉱物に関する開示の最終規則を公表

SECは、ドッド・フランク法によって、その製品に特定の鉱物が含まれる場合の米国上場企業に義務付けられる新しい開示についての最終規則を公表しました。

 

 

IASB-ヘッジ会計の一般規定に関するレビュー・ドラフトを公表

IASBは、2012年9月7日に、ヘッジ会計をリスク管理活動により密接に整合させる原則主義の基準を提案するため、ヘッジ会計モデルに関するレビュー・ドラフトを公表しました。IASBは、現行のヘッジ会計のガイダンスが、複雑で一貫性に欠け、その他にも重要な欠陥があるという深刻な批判に対処する目的で、このレビュー・ドラフトを公表しました。このレビュー・ドラフトにより、ヘッジ会計を適用する機会が増加することが見込まれています。このレビュー・ドラフト案を適用するためには、企業は重要な判断を行うことが必要となり、情報システム及びビジネス・プロセスの変更も必要となると見込まれています。

 

 

 

EITF-3つのコンセンサスを承認

2012年9月11日に開催されたFASBのEITF会議において、EITFは、以下3つのコンセンサスを承認しました。

 

  • 非営利組織:キャッシュフロー計算書における寄付された有価証券の売却の分類(EITF論点12-A)
  • 金融機関の公的資金による買収の結果として認識される補償資産(indemnification asset)の事後的な会計処理(EITF論点12-C)
  • 非償却資産に分類される映画製作費(film costs)の減損の分析における貸借対照表日後に発生した情報の取り扱い(EITF論点12-E)
  • また、この会議においてEITFは、以下2つのコンセンサス案を公表することに合意しました。
  • 在外事業体内での売却または在外事業体への投資の売却に伴う、親会社の累積為替換算調整勘定(cumulative translation adjustment, CTA)の会計処理(EITF論点11-A)
  • 連結された債務担保金融事業体(collateralized financing entity)の資産及び負債の公正価値の差額に関する会計処理(EITF論点12-G)

 

 

 

KPMGの刊行物「Quarterly Outlook」(2012年9月版)

「Quarterly Outlook」(2012年9月版)は、耐用年数を確定できない無形資産の減損テストに関する任意の定性的評価、ヘルスケア改革法に関する最高裁判所の判決を受けたビジネス上の検討事項、SECの「Jumpstart Our Business Startups (JOBS) Act」、及びユーロ圏の不確実性とその財務報告への影響等のその他の注意事項を含む、当四半期における財務報告の検討事項を解説しています。財務報告に関する今後の検討事項のセクションでは、実質的な不動産の認識の中止、及び資産と負債の相殺に関する開示について解説しています。将来の展望-進行中の基準策定プロジェクト及びその他の活動のセクションでは、U.S. GAAPとIFRSのコンバージェンス・プロジェクトをはじめとする現在進行中の基準設定活動、その他の包括利益累計額に関する会計基準更新書(Accounting Standards Update, ASU)案をはじめとするFASBの活動、非公開企業の財務報告に関する最近の進捗状況及びEITFの活動に関する進行中の基準設定活動を紹介しています。「Quarterly Outlook」(2012年9月版)はまた、IFRS及びドッド・フランク法の進捗に関するSECの活動、監査報告モデル、監査人の独立性、監査の透明性、監査委員会とのコミュニケーション、及びその他のPCAOB案に関するPCAOBコンセプト・リリース並びにPCAOB監査基準書案についても解説していいます。推奨記事セクションでは、広範囲の論点に関する記事及びレポートを提供しています。

 

 

 

FASB/IASB-リース会計に関する残りの論点の再審議及び再公開草案の公表の延期

FASB/IASB(以下、両ボード)は、2012年9月20日に開催した合同会議において、セ―ル・アンド・リースバック取引の会計処理に関する過去の暫定合意を明確化し、単一リース費用法(single lease expense、 SLE法)に基づく借手の使用権資産の減損、SLE法に基づくリース費用総額の認識パターン、リース分類テストのタイミング、及びサブリースに関するリース分類テストが当初リース契約における借手の使用権資産または原資産に基づくべきか否か等の論点を含む、借手と貸手の会計処理に関する2つの認識方法によるアプローチ(dual model approach)案に関連する残りの論点について追加的な暫定合意に至りました。両ボードはまた、リース会計の再公開草案の公表時期についてスタッフと討議しました。両ボードのスタッフは、2013年の第1四半期までは再公開草案を公表できない可能性が高く、再公開草案の再審議は2013年の下半期までは開始できない可能性が高いと指摘しました。

 

FASBはまた、非公開企業(non public entities, NPEs)固有の論点を討議するため、2012年9月25日に個別の会議を行い、リースモデル案の適用に際してNPEの借手によって使用される割引率、NPEの借手による開示、及び関連当事者間のリースに関する会計処理等について追加的に暫定決定に至りました。

 

 

 

SEC-「JOBS Act」に関するQ&Aを改訂

SECの企業財務部(Division of Corporation Finance)のスタッフは、SECのウェブサイトに「Jumpstart Our Business Startups Act(JOBS Act)」がSECファイリングや報告に与える影響についての追加Q&Aを掲載しました。このQ&Aは、新興企業(emerging growth company)の規模に応じた開示規定を定義し認容する、JOBS Actの第一篇(Title Ⅰ)の一般的な適用の論点についてのガイダンスです。

 

JOBS Actは、新興企業による普通株式の新規公募に関して、1933年証券法のRegulation S-Kに規定される登録届出書における財務諸表の表示及び開示規定の軽減を認めるものです。新規に追加されたQ&Aは、新規株式公開または合併に関する特定の投資家の予備調査活動及び非公開の提出プロセス、新興企業による登録届出書及び定期的な報告書に関する一般的な財務諸表の開示規定、及び新興企業としての資格の判定方法等を取り扱っています。

 

 

 

FASB/IASB-収益認識プロジェクトにおける委託製造業者及び契約の条件変更に関する暫定合意

2012年10月16日に開催されたFASB/IASB(以下、両ボード)合同会議で、両ボードは、収益認識プロジェクトにおける委託製造業者、進捗度の測定及び契約の条件変更について暫定合意に達しました。このDefining Issuesは、これらの暫定合意及びその他の討議内容並びに再審議が予定されている残りの論点を要約しています。ポッドキャストによるこのDefining Issuesの概要も、入手可能です。

 

 

 

FASB-「資産と負債の相殺に関する開示」の適用範囲の限定を決定

FASBは、2012年10月31日に開催されたFASB Board会議において、会計基準更新書(Accounting Standards Update, ASU)第2011‐11号「資産と負債の相殺に関する開示」の適用範囲を、マスター・ネッティング契約または類似する契約の対象となるデリバティブ、買戻し及び売戻し条件付売買契約(repurchase and reverse repurchase agreements)、並びに債券貸借契約に限定することを決定しました。このFASBの決定は、利害関係者から寄せられたこのASUの適用範囲に関する適用上の問題点に対応したものです。ASU第2011‐11号の適用日と同様に、企業は、2013年1月1日以降開始する事業年度(及びこれらの事業年度に含まれる四半期)から遡及的にこのASU案を適用することになります。

 

 

 

AICPA-中小企業向けの特別目的財務報告フレームワーク案に関するコメントを募集

AICPAは、2012年11月1日に、U.S. GAAPに基づく財務諸表を公表する必要のない中小企業(small and medium sized entities, SMEs)向けのその他の包括的会計基準(other comprehensive basis of accounting, OCBOA)に関する公開草案を公表しました。U.S. GAAPに基づく財務諸表を公表する非公開企業に対してU.S.GAAPの免除または修正の可否を検討するFASB及び非公開企業審議会(Private Company Council, PCC)の非公開企業プロジェクトとは異なり、この中小企業向けの財務報告フレームワークは、U.S. GAAPに影響を及ぼすことのない、自己完結型(self-contained)の特別目的のフレームワークです。

 

このAICPAの中小企業向け財務報告フレームワーク案は、例えば修正現金主義のような従来の財務諸表作成方法、及び税法ベースの会計を活用しています。この公開草案は、財務報告フレームワーク内における全般的なガイダンス、財務諸表の表示及び開示、中小企業が頻繁に直面する特定の領域及び項目に関する財務報告フレームワーク内における強制規定または容認規定、並びに移行措置を対象とする32からなる章で構成されています。